AnotherVision Countdown Calendar2017

当ブログは、AnotherVision Countdown Calendar2017の記事を投稿しております

物品とパズルと謎解き体験

・この記事はAnotherVision Countdown Calendar2017の一環の記事となっております。

adventar.org

 

はじめに 

みなさんこんにちは、AnotherVisionのkattunです。

「お前誰やねん」って思われた方、大正解です。実は私は少し前*1にAnotherVisionに仲間入りさせてもらったばかり、つい先日までこの団体を外側から眺めていた人間でした。

そんな私が内側に入ってみて、裏側を覗いてみて、率直な感想は「あ、こんなヤバい団体だったんだ」の一言。想像以上に世間から注目されており、求められる期待値も高い。それら全てに応えながら、異常な速さ*2で謎解きを作り続ける。AnotherVisionは、そんな団体でした。ヤバい。

この記事では、そんな団体の一員として私が謎解きに対して考えていることを、実際の制作現場を目の当たりにして感じたことを交えながら長々と書き連ねていこうと思います。
……が、まずはその前に、ちょこっとだけ私の自己紹介です。

 
 名前:kattun(「かっつん」と読みます)
 趣味1:パズル。もはやライフワーク。もらうととても喜ぶ*3
 趣味2:創作活動。音楽、絵、動画、工作など片っ端から手を出す。
 趣味3:謎解き。ハッと気付く瞬間や公演世界観への没入が大好き。

 
それでは、そろそろ本題に入ります。
(※注:以下の全ての内容はあくまで一個人の意見です。) 

 

そもそも「謎解き体験が面白い」って、何?

 このお話をするにあたって、みなさんに一つ質問があります。

  【謎解き体験の面白さって何ですか?】

「発想が新しければ面白い」「謎がひらめければ面白い」「脱出に成功すれば面白い」。多分、人によってもいろいろな答えが出てくると思います。でも、きっとその後ろには「楽しい」「凄い」「気持ち悪い」など、たくさんの感情があるはずです。そうやって人の心を動かせるものが「面白い」に繋がっていくんじゃないかなー、と私は思っています。心に響く要素がぎゅっと詰まったものが、いわゆる「激ヤバ」「激エモ」な謎解きだったりしますよね。

 
では、どうすれば人の心は動かせるのでしょうか。 


簡単な人の心の動かし方 

もちろん、洗脳とか人心掌握術とかのお話をしたいわけではありません。あくまで「体験として人の感情を揺さぶる」お話です。その一つの方法を簡潔に書いてしまうと「予想外なことをする」のが効果的。つまり、謎を解いている人に良い意味で「えっ!?」と思わせれば勝ちです。ひらめき・再利用・ギミック、どんな場合でも「こうなると思わなかった!」という時ほど感情が揺れ動きます*4

そのためには「ありえなさ」が大きなポイントになります。例えば、凸と凹のように元々組み合わせそうな形をしているものを「組み合わせます」って言われても「やっぱりか」ってなりますよね。一方で、パッと見ただけでは想像もできないような要素が隠されていて、それが明らかになった時にはきっと驚くはずです


その「ありえなさ」を演出するのにうってつけなのが、物品であり、パズル*5なのです。 


物品とパズルの持つ力 

基本的に謎解きでは、紙や箱などの物品は初めて目にするもののはず。そんな得体の知れないものたちに対して、これからどう扱っていくのか、その先に何が起こるのか、謎を解く人の期待感は非常に高いです。そして、謎を解いていくうちに段々と物品の性質や使い方が分かってきて、ある種の高揚感とともに次へのステップへと進めるようになっていきます。……それが、「仮の姿」であるとも知らずに。

大抵の場合、謎解きのキーとなる物品の真の姿・真の用途は、巧妙に仮の姿にカモフラージュされています。そしてその仮の姿とは、真の姿の持つ特徴がうまい具合に分解され、別の見た目を持った何かに組み替えられたものに他なりません。その制作過程はまさにパズル的だということができますし、かなりパズルを作るのに近い*6部分もあります。そうして作られた謎は、そこまでの行動によって仮の姿が印象付けられているからこそ、真の姿が明らかになった時に驚きを生み出すのです。

実際、AnotherVisionでは物品製作の部分だったり、いわゆる解き直し・再利用と言われるようなパズル部分にはかなりこだわりがあるように感じています。制作メンバーはみんな、物品一つの見せ方からその完成度に至るまで非常に大きな熱意を持っていますし、小謎一つとっても「まさか」と思えるような作成難易度の高いパズルが数多く作られてきました。

 
どれもこれも、全ては「ありえなさ」を生み出すため、ひいては「面白い謎解き体験」を作るために、必要なことなのかもしれません。 


おわりに 

ここまで長文を読んでいただき、ありがとうございます。

いろいろ書いてはみましたが、今回のお話以上に、謎全体の流れの合理性だったり、ストーリーと謎のリンク具合とかの方が、もっと体験に影響する重要なポイントである可能性は否定できません。あくまで今回のお話は、謎解き体験を面白くするための一側面だととらえていただければ幸いです。

また、今回パズル的というお話をちらっと書きましたが、実は今回の記事に書けなかったパズルネタが大量に消化不良状態*7です……。例えば、そもそもパズルと謎って何が違うのかとか。謎としてパズルを使う時に気にしている部分とか。このあたりを少し考えてみると、「何で謎って解けると楽しいんだろう」ってところにも繋がってくるかもしれません。これはまた、機会があれば別の時にでもお話したいなぁ、と思っています。 


それでは、明日以降の執筆者にもご期待ください(^ ^)/

 

 

*1:2017年9月末

*2:1か月に1つ以上作ってるんじゃなかろうか

*3:ください。面白いパズル常時募集中

*4:でも導線が足りていないと「えぇっ……」って感じで負の方に感情が動いてしまうので注意

*5:正確にはパズル的な実装

*6:論理パズルのヒントをいろいろな場所に散りばめている感じ

*7:私は元々パズル界隈の人なのでネタが山程ある