AnotherVision Countdown Calendar2017

当ブログは、AnotherVision Countdown Calendar2017の記事を投稿しております

パズルへの愛を語り、謎への繋がりを綴る

・この記事はAnotherVision Countdown Calendar2017の一環の記事となっております。

adventar.org

 


0. 目次

  1. はじめに
  2. パズルと謎の領域
  3. パズル謎の裏ルール
  4. 謎解きとパズルの切れない縁
  5. 謎作りだって一つのパズル
  6. おわりに

 

1. はじめに

みなさんこんにちは,AnotherVisionのkattunと申します.
AVCC2017を読んでくださっている方にとってはお久しぶりです.
↓の記事で「物品とパズルって凄いよね」って言ってた人です.

http://avcc.hatenablog.com/entry/2017/12/16/004353


今年も残り僅かとなりましたが,みなさんいかがお過ごしでしょうか.
一年を振り返ってみると,色々なことがあったのではないかと思います.

 

私自身,今年は特に謎や謎解きに関する出来事がたくさんありました.
例えば,少人数で謎解き公演を作ったり,みんなで謎を解きに行ったり.
何より大きかったのは,謎でたくさんの方との繋がりができたことでした.
この一年を通して,謎解きは私に色々な機会を与えてくれたように感じます.

 

そんな謎解きに私がはまるようになったきっかけって,何だったんだろう?
その記憶の糸を辿ってさかのぼると,そこにあった答えは「パズル」でした.
謎解きでのパズルの使われ方に,私はパズルの新しい面白さを見つけたのです.
そこから謎解き自体が面白いと感じるまで,そう時間はかかりませんでした.

 

そこで,本記事ではパズル界隈出身*1の私の体験や経験を交えながら,
パズルを通した謎との関わり方に思うことを書き進めていきたいと思います.
長くなりますが,どうか最後までお付き合いいただければ幸いです.


(一部12/16記事の内容に繋がる部分があります.よろしければ過去の記事もご覧ください.)

 

2. パズルと謎の領域

まずはこの先話を進めるうえでの前提,パズルと謎のカバー範囲のお話です.
パズルと謎を大まかに区別するなら,大体以下のようになります. 

 [パズル] : 指示されたルールに従えば誰でも解けるもの
 [ 謎 ] : ひらめきや気付きがあって初めて解けるもの 

でも,実際はこんなにきっぱりと分けられるものではありません.
1つの謎にルールで解ける部分とひらめき部分が混ざることだってあります.
何故ならそれは,パズルと謎のカバーする範囲が重なっているからなのです

f:id:AnotherVision:20171227142502p:plain 上の図で2つの円が重なっている部分,ここがパズルであり,謎である部分です.
そこにはパズルっぽい謎もありますし,逆に謎っぽいパズル*2もあります.
 「ひらめかないと解けないのが謎なのに,パズルっぽい謎って何だ」
 「ルールに従えば解けるのがパズルなのに,謎っぽいパズルって何だ」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません.

 

そうなんです,少し矛盾しますよね.でも,そんなものなのです.
はっきりと「これはパズル」「これは謎」と言い切れるものもありますが,
全体を通して見てみると,実はパズルと謎の境界は結構あいまいなのです.
実際,小謎のいくつかの問題はルールに従っているだけで解けますよね.

f:id:AnotherVision:20171227142515p:plain

グラデーションのかかった,パズルとも謎とも断言できない領域.
ここでは,パズルと謎のどちらの要素をどれくらい持ち合わせるかによって,
パズルと言えるか,それとも謎と言えるかが大きく変わってきます.
ですので,厳密な定義をきっちり当てはめようとするのは難しいです.

今回の記事はパズルが謎とどう関わっていくのかがメインのお話ですので,
ざっくりとした棲み分けは理解しつつも細かい定義の話は抜きにして,
「謎におけるパズルとはキーワードや謎の真の姿を隠すための大事な一手段」,
そう考えておくのが,無難なのかもしれません*3

  

3. パズル謎の裏ルール

先程,パズルと謎の境界が曖昧な例として小謎の話をちらっと出しました.
いわゆる「純粋なパズル」を謎解きの中で使うことはそう珍しくありません.
そんなパズルを謎として出す時は,3つほど裏ルールがある気がしています.

 ①解いた後にメッセージが出ること
 ②必ずどこかで謎に関わること
 ③難しすぎないこと

ここではそれぞれについて,少しずつ言及していこうと思います.

 

①解いた後にメッセージが出ること

 純粋なパズルというのは「盤面の完成自体が目的」であることがほとんど*4
 ですが,謎としてパズルを解く際に,盤面の完成だけではスッキリしません.
 解いた後に言葉が出てくる方が,謎解き中での納得度は上がりますよね*5

 

②必ずどこかで謎に関わること

 キーワードを出すためだけにただパズルを解いた.それでも問題はありません.
 でも,そこに気付きがなければ,その問題はただの作業で終わってしまいます.
 そこに新たな手がかりが隠れている方が,謎解きとして綺麗に繋がるはず*6

 

③パズルが難しすぎないこと

 謎解きをする人は,恐らく超高難度のパズルが解きたいのではありません.
 特に時間制限がある公演型の謎解きでは尚更です.悩みたいのはそこじゃない.
 手掛かりさえ集まればサラっと解けるレベルのパズルが適しています*7

 


みなさんが面白いと感じるパズル謎は,大体どこかにひらめきが絡んでいて,
ある事に気付けばすんなり解答ワードを導けるものが多いのではないでしょうか.
どのルールも必須ではないですが,「謎解きの中のパズル」であることを考えれば
謎解き体験全体を良くするためには必要なことではないかなぁ,と感じています.


4. 謎解きとパズルの切れない縁

では,実際に謎解きではどのようなパズルが使われるのでしょうか*8
物品を使うパズルだと,ブロックパズル・絵合わせパズルがあると思います.
それから数独や覆面算,迷路なんかもよく見かけるのではないでしょうか.
あとは言葉系統だとクロスワード,しりとり,シークワーズなどなど.
他にはヒントをかき集めて正解を推理する論理パズルなんかも……

 

何を隠そう,謎に使われるパズルにはこんなにも多くの種類があったのです*9
そもそも謎に近い「暗号」自体もパズルに含まれることがあるくらいですから,
それくらいパズルの世界と謎解きの世界は相性が良いことが分かります.
でもひらめきが大事な謎解きで,何故これ程パズルが使われているのでしょう.

 

これはあくまで私の推測ではありますが,パズルのカバーする範囲の広さ,
そしてパズルの持つ特徴が,謎の手がかりを隠すのに最適だからかもしれません.
パズルというのは,解ければ全てが見えるけれど,解けなければ何も分からない.
解けるまで気付いて欲しくない色々なものを隠すのには,うってつけなのです.
ひらめいた結果パズルが解けるようになり,隠れていたものが見えるようになる.
この流れは体験としても面白く,謎制作者としても非常に演出がしやすいです.
そんなWin-Winの関係になる便利ツールを,使わない訳がないですよね?*10 

……まあ,数字と文字の対応とか,記号とアルファベットの変換とか,
使い古されたネタになってしまうと「やっぱりか」って感情になるんですけどね…….

 

5. 謎作りだって一つのパズル

ここまでは謎にパズルを使うことについてをメインに書き進めてきましたが,
最後に少し,謎制作がパズル的な側面を持つことについてお話したいと思います.
12/16の記事で触れた「パズル」は,大体この部分のお話になります.

 

まず,どうやって謎を思いつくのか.これは人によって違うと思います.
地道な調査でアイデアを見つける人,天から発想が降ってくる人,様々です.
この部分は気付きやひらめきが必要な,パズルのない純粋な謎の部分です*11

 

ですが,そのイデアを形にするとき,少なからずパズル的な実装が必要です.
謎解き公演で用いられる小謎を考えてみると,少しわかりやすいかもしれません.
大謎や再利用謎に必要な手掛かりを,過不足なく小謎に散りばめて配置する.
そして,一目見ただけではそこに配置された手掛かりが分からないように,
それぞれの小謎を上手く別のパズル・問題として見えるように作り上げる.

 

問題に含めるべき情報,そして場合によっては解答ワードも決まっている状態で,
適切にカモフラージュした問題を作るのは非常に大変で地道な調整が必要です.
また,「どの情報をどこに割り当てれば謎として実装できるか」を考える時も,
論理パズルの条件整理のように,謎解き全体での辻褄を合わせる必要があります.


このあたりが,私が謎を作る中でパズル制作と似ていると感じる部分であり,
謎制作者にパズル界隈の人が多い理由でもあるのかなー,と解釈しています*12

 

6. おわりに

パズルと謎についてのお話,いかがでしたでしょうか.
長々と本記事を書いてきましたが,全体を通して言いたいことはこれです.

  「パズル世界と謎解き世界の良い関係に気付いて欲しい!」

謎解き参加者は,解いている謎の裏に意外な程多くのパズルが潜んでいること.
謎解き制作者は,謎解き体験を良くする上手なパズルとの付き合い方があること.
これを少しでも意識してもらえれば,本記事の目的は達成できたと思います.

 

……さて.このAVCC2017も,残すところわずか3記事となりました*13
1年を締めくくるのに相応しい,先輩メンバーの方々が執筆予定です. 

これまでの謎を振り返る人も,これからの謎に期待する人も.
全ての謎解きを愛するみなさんが,来年も素晴らしい謎たちと出会えますように.

それでは,良いお年を!(^ ^)ノシ

 

  

 

*1:年齢≒パズル歴,「NO PUZZLE, NO LIFE.」をモットーに掲げるレベルでパズルを溺愛する人間です

*2:閃かないと解けないパズル,そういうものも実はあるんです

*3:このあたりはきっちり表記するのが難しいです…….

*4:謎解きでよく見る数字系・記号系のパズルは特にこの傾向が強いです.

*5:例外もあります.Web謎では数独を解いて指定位置の数字を入力するだけのものも.

*6:隠し方次第ではあります.綺麗に隠れている程謎としての完成度も上がりますね.

*7:難しいパズルを中心にした謎解きもありますが,それはターゲットを絞って行うべきだと考えています.

*8:といっても,謎解きをされる方にとってはこれまでに見てきたまんまですね.

*9:パズルのカバー範囲自体が非常に広いというのも理由の一つですね.

*10:あくまで個人の感想です.でも謎作る時にはかなり有用です.

*11:大前提としてここが面白くないと,パズルが凄くても謎として残念になることがしばしば.

*12:でも昔は今ほど再利用謎が多くなかったし,制作者層も少し違っていたのかも.

*13:遅刻者分の記事は除きます.時間に厳格な団体とは一体何だったのか.