謎制作団体で謎制作せずに生き残る方法
※この記事は、「AnotherVision members' Advent Calendar 2017」の一環として書かれたものです。そりゃあそうか。
はじめに
《年末のあれこれ》に泣きそうになっている皆様も、そうでもないという皆様も。
こんにちは、あるいはこんばんは。AnotherVisionの林檎(@MoA5084)です。
いつのまにやらAnotherVisionの中でも老害的なポジションになってしまいました。長い間AnotherVisionの公演に来てくださっている方(あるいはクイズ関連の方)ならもしかしたら僕のことをご存知かもしれませんが、まずは自己紹介を。
- 名前:
- 林檎(ぼくおとこのこだよ!←重要)
- 入会:
- 2014年(アナビの中では2期と呼ばれる世代。現在学部4年)
- 制作:
- 主な制作コンテンツは『ナゾトキアート・オフライン』『白黒キネマ』『シカバネ生存戦略』『無彩色の隔壁』など。
その他、2014〜2016年を中心に各種公演のスライド制作などを担当。 - 特筆事項:
- 果物部カースト最下位。
- 好きなゲーム:
- 『逆転裁判』シリーズ(特に大逆転1とレイトンコラボ)、『ダンガンロンパ』シリーズ(無印より2、V3の方が好み)。
- 好きなアニメ:
- 『ソードアート・オンライン』シリーズ(ゲームシリーズも好きです。きっかけは推して知るべし)。
- 好きな花澤香菜の曲:
- 『パン屋と本屋』
HNのせいでよく間違われるのですが、まあまあ老け顔なおじさんです。22歳っていうと驚かれるレベル。可愛い女の子を想像していた皆さん、ごめんな……。
さて、それでは記事本編に移りましょう。
(以降の記事では、謎解きコンテンツ制作経験がない方を考慮した内容となっています。制作経験がある方は心の中で「そんなん知ってるわ」とツッコミながら、軽い気持ちでお読みください。
イベント制作の裏側のお話
皆さんはAnotherVisionのイベントに参加されたことがありますか?
特に公演型のイベントに参加された方なら(もしかしたら)わかっていただける(かもしれない)と思うのですが、公演の終わり際に流れるエンディング動画には、ほぼ毎回スタッフロールがついています。
これをよく見てみると、あることに気がつきます。
「謎制作」に対して「スタッフ」多すぎないか……?
もちろんスタッフはシフト制で入れ替わっているわけなのですが、それにしたって多すぎます。スタッフが謎制作の倍くらいいるんだもの。
……ということはつまり、AnotherVisionには謎制作をしている人と同じぐらい(あるいはそれ以上)、謎制作をしていない人がいるのです*1。
今回は、そんな《謎制作をしていない人》であり続けた僕が、思うところを書き並べる記事です。
《もうひとつの関わり方》との出会い
僕が初めて謎を作ったのは、アナビに出会って直後の五月祭公演『ある試験からの脱出 〜単位・イズ・ノット・イナフ〜』でした。
そこで僕は謎制作に名乗りをあげたのですが、結局作れたのは1問のみ。その謎こそ満足いくものになりましたが、なかなか制作に携われれない状況に不甲斐なさを感じたのもまた事実。
そこで僕が着手したのは、その時たまたま担当の募集がかかっていた「解説スライド*2制作」でした。
それまで感じていた不甲斐なさをバネにして、これでもかっていうほど時間をかけてスライドを作り(繰り返しになりますが、その時の僕は謎を作れなかった)、恐る恐る先輩(しゃるさん*3など)に提出してみたところ、それは想像の何十倍もの驚きと褒め言葉によって受け入れられたのです。
もちろん一発OKではなかったわけですが、その時の僕は天にも昇る気持ちでした。
そしてその思いは公演当日にさらに強まることになります。
本番の解説で、しゃるさんが解説スライドのワンシーンに触れて、(だいたい)こんな言葉を発したのです。
「よくみててくださいね〜、はい!(スライドのある演出が入る)これ、彼が作ったんですよ〜(会場から拍手)」
この時、PAをしていた僕はテーブルの陰に隠れて恥ずかしさを和らげる一方で、心の中ではめちゃくちゃガッツポーズをしたのでした*4。
そして、僕は悟ったのです。
謎は作れなくても、公演を彩ることはできる。
そして、きっと僕の居場所はここにある。
そうして、ちょっと珍しい僕のサークル生活が始まったのです。
僕が見つけたいくつかの居場所
……と、まだ僕の生活は始まったばかりなのですが、既に2,000文字オーバーらしい*5ので、ここからはスピーディに行きましょう。
僕がこれまでの4年間で経験してきた、いわゆる「謎制作」ではないAnotherVisionの活動をいくつかご紹介します。
謎制作者の方にとっては珍しいものではないかもしれませんが、「謎制作っていっても、こういうことばっかりしている人もいるんだなあ」と思ってくれる方がいると信じて書き進めることにします。
解説スライド制作
きっと僕がアナビで行ってきた活動の中でもっとも大きな割合を占めるものです*6。
AnotherVisionは、可能な限り全ての謎に触れるようにする*7など、丁寧な解説を心がけているつもりです。
そして僕自身も、
「解説はもうひとつのエンターテイメント」
という信条のもと、謎が解けた時の感動を少しでも追体験できるような解説を目指して毎回試行錯誤をしています。
謎自体はしっかりしていたのに、解説がこけたのでお客さんが理不尽に感じる、なんてことも考えられる(し、実際に経験したこともある)以上、解説は謎自体に負けないくらい「お客さんの体験」に直結するものなのです。
とはいえ、最近は心強い後輩が育ってきてくれて、僕が作ることはあまりありません。
アプリケーション開発
最近では公演の演出のためにタブレットなどを導入することがあり、そのアプリケーション開発を行っています。
これにはAnotherVision内で開発が得意な人間のチームがありまして、公演ごとに何人かが携わっています。
ここだけの話をすると、タブレットアプリの開発経験は皆無だったため、人生初のタブレットアプリが公演で使用される(絶対にバグを出してはいけない)という冷や汗ものの経験もあったのですが……。
他にも、サイバーな世界観(?)のゲームで度々登場している「カウントダウンタイマー」の制作も担当しています。
もしかしたらご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。時間を告げることで無慈悲にプレイヤーを煽ってくるアレです。
確か、とある公演で「タイマーがあったら雰囲気出ないかなあ」という誰かの声に鋭く反応して、作ったこともないのに「僕多分作れる!」とか言い出したのがきっかけだった気がします。
個人的に思い入れのある公演だったので結構頑張って作ったら、(主にスタッフに)好評で、その後しばしば採用してもらいました。
半分くらい思いつきで作ったものですが、こうやって文化として根付いてくれると嬉しいものがありますね。
Web制作
最近好評をいただいた『神と天使と僕らの手紙』のヒントサイト*8や公式サイトなど、Web関連のお仕事もしています。
カミテガミのヒントサイトについては、実はネタバレを食らっていない状態で(つまりビジュアルとリード文だけで)公演の雰囲気を想像して作った*9のですが、楽しんでいただけたようで何よりです。
なお、こちらもアプリ開発とほぼ同じメンツが管理を担当しています*10。
書ききれなかったその他のお仕事
僕だけでも他にもデザインとか渉外とか色々手広く活動してきたのですが、記事も長くなってきた*11ので、この辺で。機会があればまた書きます。
終わりに:僕がこの記事を書いたワケ
……さて、ここまで僕の記事を読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。
最後に少しだけ、僕がこの雑多な記事を書いてまで(そして、これを読んでくださっている皆さんの貴重な時間を奪ってまで)伝えたかったことを書くことにします。
2014年の五月祭から、僕はアイデア出しはするものの、いわゆる「謎」を作らずにこの団体で生き残っていくことができました。僕が僕なりにAnotherVisionで活躍できていたということは、この記事を通じてお分かりいただけたのではないかと思います。
ただ、このような活動に専念できることは、きっと当たり前ではないと思うのです。
最初に触れましたが、AnotherVisionはスタッフロールに何十人もの名前が連なるような、大人数での制作を長い間続けてきた団体です(もちろん少数精鋭型の制作チームもあります。その辺は割愛)。
そんな大人数での制作においては、謎を作らずに謎解きイベントに関わるという僕のスタイルは、批判されることなく、むしろいくつかの面では好意的に受け入れられたのです。
振り返ってみると、僕がAnotherVisionで生きていけたのは、ここが大きいのではないかと思います。
そして、これはAnotherVisionに入ってよかったと思う最大の理由でもあります。
ひとつの謎解きイベントの裏側では、見えないところで本当にたくさんの人が動いています。その中には僕がこの記事で紹介したものもあれば、紹介しきれなかった(そもそも僕が担当したことがなかった)ものもたくさんあるのです。
普段のイベントでは、イベントそのものを楽しんでいただきたいという思いもあり、(時折目立ちたいなあと思いながらも)目立たないようにこそこそとやっているお仕事だったりするのですが、この機会にちょっとでも裏側を覗いていただければ、と思ってこの記事を書くことにしました。
この記事を通して、「謎制作団体には謎を作らずとも生き残っている不思議なヤツがいる」ということに目を向けていただけたら、そして、「AnotherVisionはそんな人が少なからず存在する*12」ということを知っていただけたら幸いです。
僕の記事は以上です。長文・駄文に付き合っていただき、ありがとうございました。
おまけ
「アナビで謎作りたいです!」という方はもちろんですが、この記事を通して「謎は作れないけど、アナビで謎解きに関わりたい!」という人が1人でもできたらなあというのが裏目標だったりします。
そんな方がいらっしゃいましたら、ぜひAnotherVision公式メールか僕にご一報ください。大学生・大学院生の方に限りますが、歓迎いたします。
*1:ここでいう「謎制作」とは、コンテンツ制作全体ではなく、小謎・中謎というような「いわゆる謎」を意味するものです。
*2:主に公演型の謎解き公演において、司会の解説時に表示される画面のこと。
*3:AnotherVisionの創設者にして初代代表。この記事を読んでくださる方の層を考えると、注釈はいらなかった気もする。ご存知ない方はこの機会にぜひ@_shalu_をフォロー。
*4:今になって思えば、PAが目立つのはあまりいいことではないのかもしれません。でも、きっとあの振りは解説のいいスパイスになっていたと思うし、しゃるさんもそれを狙っていた面はあるのではないかなと思っています。
*5:しかも日付変わる瞬間の更新には到底間に合いそうにない。
*6:正直これだけで記事一本書こうと思った。
*7:残念ながら最近は時間の都合で泣く泣くカットすることが増えてきています。なんとかならないかなあ。
*8:会場でスマホから見てもらう状況のみを想定していたので、申し訳ないですがブラウザから見る場合は画面を縦長にしてご覧くださいな。
*9:裏話になりますが、僕はテンプレートを作り、制作陣がテキストを埋めて送ってきたものを僕は何も見ずにサーバにアップする仕事をしていました。
*10:最近更新が止まっていて申し訳ないです! 現在管理体制強化に尽力しているところですので、もうしばらくお待ちください。
*11:その上、公開予定時刻も近づいてきた
*12:もちろん他の団体にもいらっしゃると思います。そういう方と是非お話しして情報交換したいなあ……と最近切に思う次第。