コラボコンテンツが持つ【熱量】のお話
※この記事は、「AnotherVision members' Advent Calendar 2017」の一環として書かれたものです。
はじめに
AnotherVision member's Advent Calender 2017をご覧の皆さん、こんにちは。
初めましての方は初めまして。
AnotherVision4期のイロナ(@Escaper009)と申します。
まずは簡単に自己紹介をば。
名前:イロナ
本名に「佑」の字が入ることから、その字を分解して「イロナ」にしました。
書き順的にはイノーロですが、気にしないでください
所属:学習院大学法学部法学科2年
アナビには東大生以外もたくさんいるんだってこと、ご存知ない方もいらっしゃることでしょう。
ぜひこの機会に知っていただければと思います。
制作
様々なコンテンツの制作に関わっています。
『一年間フレンズ。』『東大ナゾ大陸』『大迷宮ロクブケーイからの脱出』『Hierarchia Tri-Al』あたりは特に強く関わりました。
どれもみなさんにお楽しみいただけていることを願うばかりです。
趣味
- ゲーム
『ダンガンロンパ』シリーズ、『逆転裁判』シリーズ、『ドラゴンクエスト』シリーズが大好物。
最近は『ゼルダの伝説BotW』『スプラトゥーン2』『ペルソナ5』にお熱。
- ポーカー
テキサスホールデムというポーカーがめっちゃ楽しいんですよ。
- チュウニズム
レートは14.30前後をウロウロしています。アナビでは雑魚。
しかし地元に帰るとドン引きされる。
特記
主に司会者として、みなさんにお目にかかる機会が多いと思います。
AnotherVisionの他、『あそびファクトリー』というところでも司会をさせていただいています。
このあそびファクトリーでもちょこちょこ謎制作のお手伝いをさせていただいております。
こちらも是非、よろしくお願いいたします。
今回のこのアドベントカレンダー企画。僕自身は軽い気持ちで参加表明しました。
なのにいざ蓋を開けてみたら、これまで書いてくれた皆さん、思ったよりガチで書くんだもん。めちゃめちゃ焦っています。怖い。どうしよう。
昨日だってkattunさんの記事すごかったもん。こんなに中身濃い記事あるんだなって。
これはいかん。僕も頑張ってちゃんと書きます。
駄文ではございますが、お時間の許す限りお付き合いいただければと思います。
(12/16追記:書き散らしていたら駄文になった自覚はあります。ごめん。投稿明日に迫ってて推敲してる時間なかった)
さて、そんな僕が今回題材に選んだのは『コラボコンテンツ』についてのお話です。
今年もたくさんのコラボコンテンツがありました!
SCRAPが展開しているリアル脱出ゲームだけでも、
『名探偵コナン』
『キングダム』
『進撃の巨人』
『宇宙兄弟』
『大逆転裁判』などなど…。
アニメや漫画に限らず、今年はSEKAI NO OWARIとコラボした『竜の夜からの脱出』なんかもありましたね。
そして来年も『ラブライブ!サンシャイン!!』や『ドラえもん』などとのコラボが発表されています。
コラボコンテンツ。
やっぱり自分が知っている作品とかだと楽しいですよね。盛り上がれますよね。
原作ファンの熱量というか盛り上がりは、見ていて羨ましいくらいのものがあります。
この記事では、こういった「コラボコンテンツ」が持つ【熱量】について書いていこうと思います。
さて。
『コラボコンテンツが持つ【熱量】のお話』とは言いましたが
「コラボなんだから謎解きファンだけじゃなくて原作ファンも来るでしょ」
「原作ファンもいるんだから、熱量がある=盛り上がるのはそりゃそう」
普通はそう考えると思います。
実際、これを読んでいる皆さんの中にもそう思った方が多くいらっしゃることでしょう。
そんなみなさんに向けて、一言。
それ、正解です。
原作を知ってる人たちが熱量持って盛り上がる。
そりゃそうです。
ぶっちゃけますと、この記事の結論もそれです。
最後に「原作を知ってみんなで楽しく盛り上がろうぜ!」っていいます。
1つ、ここで皆さんにお伝えしておくことがあります。
この記事、おそらくみなさんが感覚的にわかっていらっしゃるであろうことを言葉にし、載せた部分が大半です。
少しばかりではありますが僕が経験し、得た知見をご紹介するつもりではあります。
しかし基本的には「それはそう」ってことになります。
ではなぜ、そんなわかりきっていることをわざわざ書こうと思ったのか。
その経緯からお話することにしましょう。
先ほどの自己紹介で申し上げましたが、僕は『あそびファクトリー』のコンテンツにも、司会や制作協力という形で関わりがあります。
このあそびファクトリーが主に制作しているのは、コラボ謎解きです。
ホームページに記載がありますが、あそびファクトリーは読売テレビエンタープライズ内にある謎解き専門ブランドです。
そのため、テレビアニメなどに関連したコラボコンテンツの制作が主となっています。
またAnotherVisionとしても、あそびファクトリーが開催する公演に合わせて『謎ファイル』というものも制作していたりします。
これらのコンテンツの制作・運営を経験する中で様々な出来事に遭遇し、コラボコンテンツというものの【熱量】について発見・再認識することになりました。
だったら、それを記事にしてみよう!と考えたわけです。
ではその「様々な出来事」とは何か。そしてそこで再認識した【熱量】とは何か。
いよいよこの記事の本題に入っていくことにしましょう。
前置きが長くてごめんなさいね。ここからが本番です。
都合上、時系列順ではありませんがご了承ください。
まず1つ目はこちら。
①魔法陣グルグル謎ファイル・ニケVer.『大迷宮ロクブケーイからの脱出』制作
あそびファクトリーが開催した『魔法陣グルグル謎解きゲーム 超越迷宮ケラダグーバ』
これに合わせて、AnotherVisionが制作した謎ファイルです。
僕自身の話になりますが、ロクブケーイ制作時、実は原作知識ほぼ無し。
放送されているアニメは観ていましたが、原作は3巻くらいまでしか読んでいませんでした(実は今になっても読破できていません)。
ここでご紹介したいのは、もりぺー(ロクブケーイディレクター。AVCCでも12/2の記事を書いています)の熱量です。
僕と違い、原作をずっと追っていたというもりぺー。
彼が作り上げたとある書類に、僕はめちゃくちゃ驚きました。
『ニケ謎ファイル入れたい要素』
これは文字通り、もりぺー自身が原作ファンの視点から謎ファイルに入れ込みたい要素を羅列したものです。
しかしこれは、ただ単純に原作ファンの意見を並べたものではありませんでした。
アニメの1話を見た上で、「どのようなペースで物語が進み、どんなキャラクターをどう出すと良いのか」という分析に始まり、設定に合う謎の案や小ネタの数々まで綺麗に網羅されていました。
さて、ここで感じることができる【熱量】。
それはもちろん【制作者の熱量】です。
「《作品世界》の一部をこの手で作ろうとする意気込み」ということができるかもしれません。
そもそも原作があるコラボコンテンツの制作において、制作側の人間が原作を知っておくべきであることは想像に難くないと思います。
では、それはなぜでしょうか?
なぜ原作を知っておく必要があるのでしょうか?
- 「原作ファンを喜ばせるため」
- 「原作設定との矛盾を起こさないため」
- 「キャラクターのセリフに違和感を生まないため」
色々考えられることはあります。試しに挙げたこの3つはどれも正解でしょう。
実際、コラボはこういったことに最大限配慮しつつ制作する必要があります。
これはあくまで僕の中での答えですが、原作を知っておくべき理由は「作品世界に自分自身が入り込むため」です。
世界観を知り、キャラクターのセリフを知り、作品の魅力を知る。
そして作品世界への理解を深めることで自身が原作ファン(もしくはそれに限りなく近い存在)となる。
先に挙げた3点を含め、すべてを内包する理由として「作品世界に自分自身が入り込む」が挙げられると、僕は考えています。
そして僕がこのロクブケーイ制作において感じた熱量の理由もここにあります。
『ニケ謎ファイル入れたい要素』は、制作陣を作品世界に誘うものとして有効なものでした。
「魔法陣グルグルという大好きなあの世界の謎をみんなで作っていきたい」というもりぺーの気概の表れでしょうか。
実際これによって僕は、謎ファイルのイメージが鮮明に見えました。
「みんなで作る」の「みんな」の中に、一気に入り込んだ感じと表現できるかもしれません。
これがなかったら、ロクブケーイはできていなかったかもしれないとさえ思っています。
そしてこの「作品世界に誘う」という意味での【制作者の熱量】は、制作陣ひいては作品にまで表出したような気がします。
完成したロクブケーイは、魔法陣グルグルのあのおバカな空気感を醸し出すことができたのではないでしょうか。
(あくまで自己評価です。お買い上げいただいた皆様自身がお楽しみいただけていることを願っております)
なんかここまで書いておいてもりぺーの考えと違ってたら超恥ずかしいわ。もりぺーマジこの記事読むんじゃねぇぞ。
そういうわけで、原作を知らない状態で身を投じた今回の制作では、この【制作者の熱量】を認識することができました。
いや良かった良かった。
原作未読で迷惑かけたあれやこれやから目を背けつつ、次の話題に移りましょう。
続いてはこちら。
②ニューダンガンロンパV3謎解きゲーム『超絶対絶命絶望希望ロワイヤルZ』
(C)Spike Chunsoft Co., Ltd. All Rights Reserved.
最初の自己紹介で申し上げましたが、僕は『ダンガンロンパ』シリーズのファンです。
なのでこれらのコンテンツに関われる事自体がめちゃくちゃ嬉しかったです。
言うまでもなく、僕自身が熱量を持って臨む事にはなったのですがそれは【制作者の熱量】としてお話したものとほぼ同様の内容になるでしょう。
ここで僕が実際に見たものとしてお話したいのは【参加者の熱量】です。
多くの方にとってはこっちが馴染みのある話になるのではないでしょうか。
ここで話す【参加者の熱量】について、2つに分けてご紹介しようと思います。
まず一つ目。
これこそが皆さんに馴染みのあることだと思います。
端的にいってしまえば「コラボコンテンツを体験した原作ファンの方が謎解きにもハマっていく」という、【熱量の伝染】です。
ある時、『超絶対絶命絶望希望ロワイヤルZ(以下、ぜぜぜぜ)』で初めて謎解きゲームを知り、謎解きにもハマったという方から声をかけていただきました。
その方はAnotherVisionが制作した『一年間フレンズ。』もお買い上げいただき、「楽しみに解きます」と言ってくださいました。
Twitterでエゴサーチをかけて感想を見たり、友人が解いているのを観測したことはありましたが、知り合いではない方から直接こういったお声を頂戴できるのは新鮮でしたし、めちゃめちゃ嬉しかったです。
しかも「謎解き」そのものにもハマっているとは!
AnotehrVisionが掲げる「人々に謎解きの楽しさを広める」という大きな目的を達成していたことが、目に見えたような気がしました。
コラボコンテンツにそういう影響があることは簡単に想像できますが、こうして直にその様子を見ると、感じるものがありましたね…。
ちなみにこの話、AnotherVision unlimited公演として開催した『シカバネ生存戦略』でスタッフをしていた時の話です。
ぜぜぜぜ東京公演:2017.04.28~06.11
シカバネ東京公演:2017.10.07~10.08
半年かからずにコラボからunlimitedまで参加するようになっていたとは…。
ガチでハマってくれたんですね…。
本当にありがたい限りです。
というわけで、【熱量の伝染】というものについて僕が経験した話を、軽くですがご紹介させていただきました。
比較的パッとイメージが掴めるものだったのではないでしょうか。
そしてもう一つここで紹介する【熱量】。これを僕は【思考の熱量】と名付ける事にしました。
この話をしていく前提として、そもそも『ニューダンガンロンパV3』というゲームの特性についてお伝えした方がいいかもしれません。
まずはこちらの画像をご覧ください。
『ニューダンガンロンパV3』PS vita版のアマゾンレビューです。
これを見れば一目瞭然ですが、このゲームはまさに「賛否両論」なのです。
何なら否の方が多い。
ゲームをプレイしている方ならご存知だと思いますが「あの結末」ならそれはそうです。
未プレイの方に配慮した言い方をするのであれば「全てをプレイヤーに任せるような結末」とでも言いましょうか…。
正直いい表現が見つかっていません。なんて表現すればいいんでしょう。
とてもいびつな作品である事に間違いはありません。
僕自身は賛否で言えば賛なのですが、否の人々の言い分もよくわかります。
(これ以上の詳細はゲームをプレイしていただく事にしましょう)
さて、このゲームは「全てをプレイヤーに任せるような結末」と申し上げました。
よって、物語の結末や舞台設定に関する解釈がプレイヤーによってまちまちです。
それを裏付けるかのように、ネット上にはこのゲームに関する考察が賛否を問わずゴロゴロ転がっています。
そのようなゲームとのコラボという事で、実はぜぜぜぜ自体も考察の余地を残したゲームになっていたりします。
実際、ぜぜぜぜに関する考察を書いてくださっている方もちらほらいらっしゃるようです。
僕自身が見つけたものは全て読ませていただきましたが、どれも興味深いものになっていました。
うっかりネタバレを食らってしまわないように、ここでは詳細をご紹介することは控えさせていただきます。
ネタバレOKだという方はぜひ探して読んでみてください。
殊にぜぜぜぜは、原作ゲームがこれだけ否定意見の多い中、それでもこれを体験し、わざわざ考察してくれた方々がいるということになります。
体験したコンテンツを振り返り、自分のゲーム解釈や設定と比較・分析し、考えて言葉にまとめる。「考察」する。
コラボコンテンツによくみられる「盛り上がり」という形での【熱量】とはまた違った、言うなれば【思考の熱量】の存在を見ることができました。
考察とは違う、単純な「感想」もここに分類することができるでしょう。
体験したコンテンツを振り返り、何がどう面白く感じたのかを整理し、「感想」として紹介する一連のプロセスは【思考の熱量】に分類されると思います。
もちろん、「考察」という行為自体は「これまでに無かった形」というわけではありません。コラボコンテンツではなくともこの現象は発生するでしょう。
しかし、「考察」行為が発生する自体は多くはないことでしょうし、起きるとすればコラボコンテンツで起きやすいのではないか。
少なくとも僕はそう思います。
であればこれも1つ、コラボコンテンツの【熱量】として捉えてもいいものでしょう。
というわけで、ここでは【参加者の熱量】の中でも【熱量の伝染】と【思考の熱量】をお話ししていきました。
さて、コラボが持つ【熱量】を《制作側》と《参加者側》2つの視点から見ていきましたが、最後に。
もう一つ別の視点から見た【熱量】をご紹介しましょう。
正確に言えば「別の視点」ではありませんが、おそらく多くの人が見えているようで見えていない視点だと思います。
最後にご紹介する【熱量】。その題材となるコンテンツはこちらです。
③僕のヒーローアカデミア謎解きゲーム『ヒーローズ・デッドエンド・プログラム』
今年7月に東京で初演が開催された、『僕のヒーローアカデミア(通称:ヒロアカ)』の謎解きゲーム。
それが『ヒーローズ・デッドエンド・プログラム』です。
こちらは浅草橋ヒューリックホールという場所で行われ、4人一組、最大65チームという大規模な公演となりました。
ヒロアカ。ご存知ないという方もいらっしゃると思います。
書店に走って1巻をお買い上げください。
「超」がつくほど王道で、「超」がつくほど熱血な、まさに絵に描いたような少年漫画。
まず素晴らしいのはコマの見せ方だと思うんです!
下手すれば展開が読めてしまうっていうかぶっちゃけ僕も展開は読めましたが、くるとわかっていても避けられないあの感じ。
「殴るよ!正面からグーパンチするよ!」って言われてるのに体が動かないんですよあれは。もう甘んじて殴られるしかないんですよ。
これは堀越先生のコマの見せ方がなせる技と言えるのではないでしょうか!!
(冷静に、脱線が見え始めたのでこの辺にしておきます。他にも語りたいことはいっぱいあるんだけどね)
さて、最後にここでご紹介するのは、制作者も参加者も巻き込んだ【全員の熱量】です
アーティストのライブなどに見られるような「会場が一体となった盛り上がり」。
これが一番近いイメージになると思います。
とはいえ、コラボコンテンツでなくともこの盛り上がりは発生します。
『リアル脱出ゲーム PV』の冒頭にあるような、大会場が一体となる盛り上がり。
『終わらない宴からの脱出』のエンディングで司会の加藤隆生さんが最後に挨拶をした時。
特に後者は記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
もちろんこれだけでなく、「会場が一体となった盛り上がり」は様々なコンテンツで見ることができるでしょう。
僕がこの公演で司会をすることになった時も、当然その盛り上がりを生み出す方法を考えました。
まず考えたのは、「前説でどう盛り上がってもらうか」ということ。
これは比較的すぐに答えが出ました。運良くヒロアカの世界観に沿った煽りを思いついたと言いますか…。
(初日初回の前説終わった直後、スタッフ仲間だったしーばから「加藤隆生さんですか?」って声かけられたの覚えてる。今思い返せばそういう煽りだった)
問題は解説(エンディング)。これは結構な時間悩んでいました。
テンションが上がったであろうお客さんが、そのテンションを保ったまま帰ってもらえるような何か。
それを実現することができれば、きっとこのイベントの満足度は跳ね上がるだろうと信じて、色々考えました。
そして結論から言ってしまえば、僕はおそらくそれを実現することができました。
僕がエンディングで何をしたか。
その答えはここにあります。
(深夜だからこっそり言うけど、司会的にものすごくやりたいくだりがあるからヒロアカ5巻まで読んで遊びにきてくれるととても嬉しいな…やっぱり“アレ”で締めたいよね…)
— イロナ (@Escaper009) 2017年7月28日
書店に走って5巻までをお買い上げください。
読めばおそらくわかります。
逆に読まなければ、この話は何のこっちゃわからないでしょう。
僕が何をしたか。その時の僕が何を感じたか。
簡単にいえば、「あるシーン」を再現しました。
言ってしまえばそれだけのことです。
僕がしたのは、あのワンシーン、あの1コマを再現しただけのことです。
正直、盛り上がってもらえるか不安だった節はあります。
所詮はとあるワンシーンに過ぎないこのコマを再現したところで、盛り上がってもらえるかどうか。
初日初回のエンディング。
やりました。
方々から「あーーーーーーーーーー!!!」の声が聞こえた時。
頭を下げながら僕は、あの一瞬だけは、正直泣きそうになりました。
『僕のヒーローアカデミア』は間違いなく素晴らしい作品です。
ですが何度も言うように、僕がしたのはとある1コマを再現しただけのこと。
お客さんがそれを知らなければ、覚えていなければ、ダダ滑りも良いところ。
しかも大会場。
僕からしてみれば、ある意味で大博打でした。
でも、あの場に来てくれたみなさんはそれを知ってくれていた。
あの1コマを、『僕のヒーローアカデミア』という《作品世界》の一部として知ってくれていた。
それが噛み合った時のあの盛り上がりはあの場にいた人、更にいえばあの場にいた原作ファンの人しか知り得ないでしょう。
あの時の僕たち(「僕」とは言いません)は、「共通認識である《作品世界》の中での共通認識」としての体験を創り出すことができたと思っています。
ちょっとややこしいですね。
「『思い出』を作り出せた」と言いかえればイメージしやすいでしょうか。
そして、このようなコラボコンテンツでいう『思い出』は、「1つの謎解きコンテンツとして」ではなく、
「共通認識として持つ《作品世界》で自分が実際に体験した話」という形で、より深い次元にたどり着けている。
実際、《作品世界》での出来事を自分自身が体験できるというそれは、《作品世界》という共通認識が前提として存在する時点でファンにとっては強烈な体験です。
ただその1点において、コラボコンテンツは完全なオリジナルコンテンツよりも強烈な体験を提供するものになる。
そういう意味では、AnotherVisionが駒場祭で開催した『神と天使と僕らの手紙(通称:カミテガミ)』も、コラボまで行かずとも「共通認識の中の共通認識」を生み出していると言えるかもしれません。
あの時期の駒場キャンパスが持つ雰囲気そのものを「共通認識=《作品世界》」として捉えるならば、カミテガミはその雰囲気をうまく世界観に組み込むことができている。
だとすれば、その世界で解いた謎・体験したこと・動いた感情は「共通認識の中の共通認識」たり得るのではないでしょうか。
どうやらコラボコンテンツと似たような性質が周遊コンテンツにも存在しているのかもしれない。そんな可能性が見えてきました。
(書き始めた頃はそんなこと考えもしなかった)
ただそこまで言及するとまた話が長くなるでしょうから、今回は置いておきましょう。これはまたの機会に。
そしてこの思い出は、先ほども言った通り《作品世界》の中にあるものです。
《作品世界》での思い出を作り、また日常に帰っていく。
日常の中でふとまた《作品世界》に触れた時、その世界での思い出が蘇る。
- 参加者であれば、実際にその《作品世界》に存在した者として。
- スタッフであれば、《作品世界》を裏から支える存在として。
- キャストであれば《作品世界》を構成する存在として。
全員を巻き込んだこの現象が【熱量】を生まずして何を生むのでしょうか。
『ヒーローズ・デッドエンド・プログラム』は、分け隔てなく全員が、1人1人が【熱量】の発信源になり得た。
僕はそう確信しています。
これが【全員の熱量】として僕が体験したお話です。
おわりに
さて、僕がこの一年間で、コラボコンテンツを通じて発見・再認識した【熱量】をご紹介して来ました。
しかし。
最初にも言いましたが、今回の内容は「みんなが感覚的にわかっているであろうことを、僕自身の体験を通じて少しだけ分析し、言葉にしただけのもの」です。
ぶっちゃけ、そこに意味はないのかもしれません。
「ドラクエファンのみんな!『竜王迷宮』マジすごかったよね!?あれやばいよね!?」
「逆転裁判ファンのみんな!『倫敦大法廷』とか『霊媒村』とか明治村周遊マジすごかったよね!?あれやばいよね!?」
「進撃ファンのみんな!『包囲された古城』マジすごかったよね!?Zeppも楽しみだね!?」
って延々言い続けているだけの文章と何ら変わらないのかもしれません。
それでも今回、“コラボイベントとしての”コラボ謎解きが持つ【熱量】を紹介することで、コラボコンテンツに対する新たな評価軸をご紹介したかった。
それが、今回僕がこの記事を書いた目的です。
今回の記事をキッカケに、『謎解きイベント』ではなく『コラボイベント』としてのコラボ謎解きに目を向けていただければ、それで僕の目的は達成されます。
長々と綴ってきたこの記事も、そろそろ締めに入りましょう。
ここでお話しして来た【熱量】、特に【参加者の熱量】や【全員の熱量】には、何より大事な大前提が存在します。
「原作を知っている状態である」こと。
そしてその《作品世界》を共通認識として持つこと。
原作を知らない人がコラボイベントとしての【熱量】を感じ取るのは、まぁ困難を極めるでしょう。
そんなわけで最後に伏線回収しましょうか。
「原作を知ってみんなで楽しく盛り上がろうぜ!」
それでは皆さんに次なるコラボをご紹介しましょう!
あそびファクトリーの次なるコラボコンテンツは…!
【速報】あそびファクトリー冬の新企画が決定しました!詳細は画像をご確認ください! pic.twitter.com/Ek7w70fUub
— あそびファクトリー (@AsobiFactory) 2017年11月29日
クソアニメに熱量もへったくれもあるかよクソしかねぇわクソが。
はい解散!!!
「お疲れ様でした!!!」
ね?
駄文だって言ったでしょ?(開き直り)